燃えないプロジェクトは萌えない?

IT業界の風物詩

プロジェクトが火の車になるというのは、変な言い方ですがSIer、広くはIT業界の名物です。
長くWebの業界の努めている人なら、必ず1つや2つ燃えたプロジェクトでの武勇伝を持っているものです。
決して自慢できることではないのに、なぜかみんな、「あの時は3日徹夜でさ〜」とか「月2日しか家に帰れなかった」とか自慢話のように喜んで話をしてくれます。

ちなみに、私はそういった燃えたプロジェクトを支援する部に所属しており、いくつか燃えた案件に支援に入った経験がありますが、幸か不幸かそのような武勇伝はありません。
いまだかつて帰れなかったことなんてありませんし、まして、徹夜したこともないです。
こんな風に書くと、「この業界ではまだまだ半人前だ」なんて思われてしまいます、ものすごい不思議な業界です・・・

プロジェクトは燃えるもの

私のいる会社では、大体3千万くらいの案件からが中規模案件といわれます。
で、大体この規模を超え始めると、燃え方に差はありますが、ほとんどのプロジェクトが燃えます。
余裕を持って見積もりをしていても燃えます。

で、うちの会社で大規模案件といわれる案件になると、大体はじめに決めた納期を過ぎてしまいます・・・
これはたぶんうちの会社だけではなくて、かなり多くの会社がそうだと思います。

プロジェクトはなぜ燃えるのか?

もし、プロジェクトが燃える原因を突き止めることができたら、その人はノーベル平和賞をもらうに値します。
日本で数百万人の人が救われる可能性があるのですから・・・
あまり一般的には大きく出てこないですが、案件の規模が数百億円クラスのものになると、大体死ぬ人が数人出ています。
これは業界の中では普通に知れ渡っていることです。

で、肝心のプロジェクトが燃える原因ですが、これは本当に原因はさまざまですが、プロジェクトの規模が大きく左右するのは間違いないです。
数百億円のプロジェクトになると、多いときで数百人が活動しており、色んな会社がそれぞれの部分を担当しています、要は人間がコントロールできる規模を超えているんです。

数百人もいると、優秀な人、そうでない人、体の強い人、そうでない人、気の合う人、気の合わない人・・・、その他にも不確定要素が増えすぎるんです。

解決策のひとつとして

で、ここで開発プロセスというのが出てくるんですが・・・・
ものすごーく簡単に言うと、開発プロセスっていうのは開発の進め方のことです。

開発プロセスには色んな切り口がありますが、ここでは規模のコントロールという切り口で話をすすめたいと思います。

今までよく使われていた「ウォーターフォール」という開発プロセスは、大きいものは大きいまんまで扱おうという考え方です。
で、この開発プロセスで多くのプロジェクトが進められていたんですが、結果プロジェクトは燃えまくったわけです。
この「ウォーターフォール」という開発プロセスは、今でも日本では一番よく使われている開発プロセスです。

でも、この「ウォーターフォール」でうまく行かないと悟り始めた人達が考え出したのが「アジャイル」という開発プロセスです。
アジャイル」という開発プロセスは、大きいものを細切れにして扱おうというのが根本的な考え方のひとつにあるように思います。*1
要は100億円の案件があったら、「1億円の案件にして100回やろうよ」という考え方です。
案件の規模をコントロールできる大きさに切り刻むというわけです。

アジャイルの規模感とスケールアウト

アジャイル」という開発プロセスは、長い間小規模の案件にしか向かないといわれていましたが、ここ最近、中規模から大規模な案件に適用することが増えてきました。
この先「アジャイル」という開発プロセスがどれほどの成功を収めることができるのかわかりませんが、あまり日本では良い印象のないSIer業界がよい方向に変わってくれることを願うのみです。

変な人もいるんです

普通は定時で帰れてプライベートを満喫する生き方のほうが健全でいいような気がしますが、世の中には「燃えているプロジェクトで本領を発揮する人」というのがいます。
本当に不思議な人種です。若干私もその気がありますが、そういう状況がきて欲しくないと願うばかりです・・・

*1:アジャイルは一般的には顧客指向とか、開発速度の速さが特徴として挙げられますが、それらの説明は他のサイトに譲ります